
- 移住年
- 2021年
- 職業
- 自営業
フリーライターとして活動しながら、「日本ワーケーション協会」の理事や「長崎友輪家(ゆーりんちー)」の運営に携わる古地優菜さん。奈良県出身の彼女は、転勤が多い夫と共に各地を転々とし、現在は長崎県諫早(いさはや)市に暮らしています。ワーケーションの普及を通じて柔軟な働き方を提案しながら、地域の人々とつながりを育む姿からは、“第二のふるさと”への深い想いが垣間見えます。
場所を変えて、豊かに働くということ
パートナーの転勤で長崎に来る前は北海道に住んでいたという古地さん。当時から、在宅完結型の仕事を活かし、女性の柔軟な働き方の可能性を広げる活動に取り組んでいました。
「ワーケーションって、“ワーク&バケーション”と捉えられているところが多いと思いますが、実際は”場所を変えて豊かに働く手段”だと捉えています。パソコン仕事である必要もないし、地元の方たちとあって新しい視点を得たり、学生さんだったら大人の人と話をするのもワーク。色々なワークの形がありますし、場所を変えて豊かに働くための選択ができる社会を広げていきたいという想いで活動をしています。」
古地さん自身もライターという職業を通して多様な業種や世代の方々と関わる中で、「コミュニティ活動に出会い、今の諫早や長崎での取り組みにつながっている」と語ります。
ライターという“橋渡し役”──外の人だからこそ築けるつながり
「“住んでいる人っていいな”と感じるようになったんです。転勤族なので、なかなか地域の方との交流が難しい中で、活かしたのはライターという武器。ライターの仕事を通して地域の方々とつながっていくと、迎え入れていただけるというのも大きいですね」。転勤族として各地を巡る中、ライターという立場が、地域にとけ込むきっかけになったといいます。
2020年に諫早へ移住後、地域のプロジェクトにも積極的に参加。市民参加型の「頂プロジェクト」にはライターとして参画し、外部からの視点を活かし、地域の人々と信頼関係を築いてきました。
「私のような“外の者”を迎え入れてくれる度量の広さがある、『迎え入れ慣れている地域』だと感じました。商店街周辺だと、衣食住がある程度まかなえる点や駅からのバスや宿泊施設がある点など、徒歩圏内で色々できるというのはワークしやすいです」。
「商店街でのお仕事もさせていただく中で、お店の人と話していても、強い想いを持っている方や、高い技術を持っている方に出会います。人情と技術が息づいている街というのがすごく面白いなと思います。取材を通して人となりを知っている店舗さんだと安心感もある。相談もできるので、文房具やカバンなど大切にしたいものを買わせていただいています」。

子どもたちに残したい“第二のふるさと”
「ワーケーションを推奨するきっかけになったのは、女性の働き方をもっと柔軟にしたいという想いから。そういう意味で、自分も実験的に毎日活動しているところはかなりあります」
古地さんが取り組むもう一つの活動が、「デュアルスクール」という制度を活用した子どもの多拠点教育。「子どもたちに第二のふるさとを残したい」という想いで始めました。
「転勤族の子どもたちは、”場所としてのふるさと”を見つけるのが難しいこともあります。だからこそ、心の拠り所になるような風景や思い出を作ってもらうことが、将来的にその子たちを助ける要素になるのではないかなと」
「この制度を使って、(愛媛県)今治の小学校に子どもたちを一週間ほど通わせていただいたり、その前は山形の小学校に通わせていただいたりもしました。諫早市の教育委員会さんから(制度を利用することについて前向きに)背中を押していただけたのも、諫早市の良さなのかなと思います」
※デュアルスクール:区域外就学制度を活用した、都市部、地方双方で義務教育を受けることができる新しい学校の形。地方への一時的な移住や二地域に居住するといった理由から、保護者が児童・生徒を住所の存する市町村以外の学校において就学させるもの。

多拠点だからこそ見えてくる、“地域と人の温かさ”
「転勤族の妻ってネガティブなイメージを持たれる方もいるかもしれません。私はいろいろな地域を転々とするのはすごく楽しいですし、いろいろな地域の中にとけ込んでいく体験ができる良さはあると思いますね」
「諫早にはコミュニティもあるし、買い物にも困らない。拠点の一つとして関わっていくにはすごくいい場所だと思います。離れても、何かしらのご縁でつながっていれたら嬉しいなと思っていますね」
地域に住まないと見えない人の温かさや関係性の面白さ、何気ない日常の中に宿る豊かさ。それらすべてが、古地さんにとっての「拠点を増やす意味」になっているのです。
「色々な地域で関わりを持ちながら、第二のふるさとや心の拠り所みたいなものを重視しています。そういう意味において多拠点、色々な地域に拠点を持つことは子育てにおいても自由さがあります。色々な地域の大人と関わっていくことで成長していく意味でもメリットが大きいです」
地域を“点”ではなく“線”として結ぶ暮らし方が、次世代にとっての新しいふるさとの形になるかもしれない。そんな希望が古地さんの言葉から感じられました。
