- 移住年
- 2012年
- 職業
- 林業組合職員(現場技術者)
北海道出身。沖縄に住んでいた時、旅行で訪れた長崎の魅力にはまって移住を決心。
料理人から林業の仕事に転向し、毎日、自然とともに生活。
今ではすっかり地域に溶け込み、祇園祭などにも参加している、岡田さんをインタビューしました。
壱岐との出会い
北海道出身で、高校卒業後は料理人をしていました。
ある時、沖縄に旅行をした際、食材や料理手法の違いに興味を持ち、文化や気候の違うところで、料理を学びたいなと思いました。
そこで沖縄に2年半住みました。
その沖縄で、壱岐の方とご縁があり、旅行で壱岐を訪れました。
その時の印象がすばらしかった! 自然の美しさと食べ物のおいしさ! 特に、魚介類の新鮮さには驚きました。
北海道、沖縄、壱岐とそれぞれの気候や海流の違いで採れる魚も違います。
その中で、壱岐の魚は種類も豊富で、身が締り、脂が乗っているように感じます。
釣りが趣味の私は、ぜひとも壱岐に移住したいと思いました。
林業との出会い
壱岐に来て、4か月は料理の仕事をしていましたが、その後、ある人の紹介で、壱岐市森林組合へ就職することになりました。
包丁をチェーンソーに持ち替えたのです。
壱岐の農村では、江戸時代後期から1950年代頃にかけて風よけ、燃料や食料の入手源、家の目隠しなどを目的として屋敷林がつくられ、伝統的な景観をつくっています。
このように壱岐の人達は、森林とともに生活し、森林から様々な恩恵を受けてきました。
私が林業の仕事をはじめたきっかけは、そんな森林への恩返しができること、また、大好きな自然の中で仕事ができること、そして何よりも大きな木を伐った時の達成感がすばらしいと感じたからです。
大木が倒れた時のダイナミックな地面の振動や風圧を感じた時は言葉にできない感動を覚えました。
一方で、森林組合の仕事は、山で木を伐ることのほか、住宅のまわりの高い木に登り、枝を落とすなど危険な作業も多くあります。
しかし、山がきれいになり、また家の周りがすっきりした時などお客さんからお礼の言葉をいただいくと、やりがいを感じます。
また、高い木に登り、そこから眺める壱岐の景色は格別ですよ。
林業をとおした自分の成長
林業の仕事は覚えることも多く、また必要な資格などもたくさんあり、森林組合に入った当初はとまどいました。
しかし、3年間仕事をしながら研修を受講し、また資格を取得できる「緑の雇用制度」というものがあり、大変役に立ちました。
この制度は、林業に必要な資格(チェーンソー、高性能林業機械等)を取得できることに加えて、森林や林業の基本的な知識・技術等を習得できる集合研修と実地研修(OJT)からなっています。
集合研修では、県内各地で林業をしている仲間たちと会うこともでき、悩みなども共有することができます。そんな彼らとは今でも連絡をとりあって情報交換をしています。
仕事をはじめて9年が経ち、職場には自分より若い職員が増えました。
今では私が知識や技術を教える立場となり、現場リーダーを任されています。
若い職員みんなやる気に満ちていますが、危険な作業も多いので、リーダーとして、安全にはいつも気を配り、常にコミュニケーションをとるように心がけています。
壱岐の暮らし
壱岐に来た当初は方言が分からなくて困りました。相手が怒っているのか、褒めてくれているのかさえも。
今も、すべてを理解できずに、分かったフリをすることもあります(笑)。
そんな私が今、好んで使う方言は、「だぁ~れん(全員)」、「いっきょい(凄い)」です。
また、人と人との距離感が近く、島民みんなが身内のような感じがしますよね。
釣りやレジャーをしているとまわりに自然と人が集まってきます。
「ぎおんさん(郷ノ浦祇園山笠)」をご存じですか?
例年7月の第4土、日曜日の2日間八坂神社に奉納される祇園祭の山笠行事で、壱岐市最大の夏祭りです。
「山笠」とは山車のような形状をしていますが、曳くのではなく、神輿のように担ぐもので、石段を駆け上がる難所がお祭りの大きな見所です。
ここ2年はコロナ蔓延により中止となっていますが、270年以上もの歴史があります。
近年では島外などから新たに関わってくれる人も少しずつ出てきており、島を離れた若者でも、山笠のときは必ず帰ってくる人もいます。
そんな私も移住した2年目から島人や家族の健康を願って参加し、今では立派な担ぎ手として仲間と共に山笠を盛り上げています。
壱岐には楽しいことがたくさんあります。楽しいことをしていると自然と友人が増えていきます。
はじめは一人二人の知り合いだったのが、壱岐の土地柄なのか、気づけば、知り合いが仲間となり、仲間の仲間が知らないうちに友人となり、今では多くの友人に囲まれて、すっかり壱岐に溶け込むことができました。
移住を考えている人へ一言
移住した時は独身でしたが、今では奥さんと子供3人の5人暮らしです。
仕事帰りや休日には趣味の釣りをして、おいしい食材を家族に持って帰ります。
子供たちには魚の名前を教えたり、魚をさばいたりして、“命を頂く”ことを教えています。
また、壱岐は季節の変化も美しく、雨の日や晴れの日もそれぞれ違った表情があり、自然を直に体験できている気がします。
私にとっても、何よりも子供たちにとって、壱岐は学びと遊びの宝庫だと感じます。壱岐はとても素晴らしいところです。
ぜひとも一緒に壱岐を楽しみませんか!?
■長崎県林業協会(林業労働力確保支援センター)
http://nagasaki-moriren.org/nagarinmori/
■壱岐市の移住制度
https://ikishimagurashi.jp/