多くの方が移住を考え始めるきっかけの1つとして、「子どもの教育」があります。
今回は、東彼杵町で独自の教育に取り組まれている学校をご紹介します。
学校法人きのくに子どもの村学園
ながさき東そのぎ子どもの村小学校・中学校
「ながさき東そのぎ子どもの村小学校」は2019年に子どもの村学園の10番目の学校として誕生しました。(中学校の開校は2020年)
同校では自己決定、個性化、体験学習を大切にしながら、一人ひとりがみんなと自由に、積極的に学べる活動を行っています。
誕生から学校理念、地域貢献や移住などさまざまなお話を同校校長の赤瀬明子さんに伺いました。
子どもの村には「おとな」はいても「先生」はいません
学校では「おこんちゃん」と呼ばれています。
由来は子どものころ「おこん」と呼ばれていたからです。ここでは「先生」とは呼びません。
「おとな」と「子ども」です。大人も子どもお互いをニックネームで呼び合うんです。
子どもの村では「一人一人がみんなと自由に」活動します。
困ったことや悩みがあれば子どもたちで集まって話し合い、ルールを作っていくんです。
大人は口出しせず、子どもたちが考えて、トラブルがあればミーティングを開いています。
公立学校の閉校から立ち上げへ
私が長崎県のこども政策局こども未来課で子育て支援を担当していた際に、
カナダの保健省が取り組んでいる「NOBODY’S PERFECT(完璧な親なんていない)」という子育てプロジェクトを普及させようと
長崎県内各地を回っていました。
そんな中、和歌山県の「きのくに子どもの村」で「おとな」として働いていた方に出会い、
この考え方や取り組み方が子どもの村に共通するところがあるという話を聞きました。
その後、私は学校に出たのですが、東彼杵町で講演会を開きたいと相談があり、
学園長の堀真一郎さんを推薦したところ、「やってみよう」となったんです。
講演会には当時の町長や議員の方も来てくださり、
その中で「学校を統合するので、空いた校舎を使って地域活性化とあわせて学校を誘致したい」との話が出ました。それからはとんとん拍子に話が進んで、町の公募に学園長が応募して、子どもの村が採択されたんですよ。
その後、地元での説明会に私も参加することとなた時に学園長が「(私を指して)この人を校長にしようと思う」と発言されました。
前もって何の話もされていなかったので「ええ~!?聞いてない」って思いましたが、
ありがたいことに地域の方にご賛同いただけたので、「覚悟を決めるしかない」と思いました。
地域貢献と移住
子どもの村では「地域の特性を活かす」ことを大切にしています。
そのためお茶ややきものなど長崎や東彼杵ならではの独特の活動を取り入れています。
また、他校から平和祈念式典への参列や原爆資料館見学のために泊まりに来るクラスもあります。
学校設立後は全国から視察が来ました。
行政や議会など「過疎化が進んでおり、閉校する施設の活用を検討しているが、どうやって公立学校を使って私立学校ができたのか。」を知るために10件以上の視察を受け入れました。
子どもの村への入学条件として、「通学90分以内」があります。90分以上かかる場合は寮に入ってもらうことになるため、家族で移住される方もいらっしゃいます。
ただそこにも条件があって、例えば5人家族(父、母、子3人)のうち、入学する子どもと母親だけの移住は認めていません。
長い期間家族ばらばらで過ごすことは望ましくありません。
環境が整ってからみんなで来てもらうこととしています。
最近では「リモートワークが出来るようになった」ことで入学がかなったケースもあるんです。
1人の入学に一家5人で移住した事例もありこれまでに50人くらいは長崎県に移住されているのではないかと思います。
子どもの卒業後の進路はばらばらになりますが、小中学校の期間を東彼杵町で幸せに暮らしてくれることで「第2の故郷」になり、たとえ長崎を離れても思い出してくれて、いつかは東彼杵町でまた暮らしたいと思ってくれるかもしれません。
最後に~子どもの村が目指していること~
子どもの村では感情面、知性、人間関係の自由を教育目標に掲げています。
その中で一人一人が幸せな時期を過ごして欲しいと思っています。
ある保護者さんから「卒業したらどんな大人になるか」と質問されたときに、
副学園長が「社会的成功をどう考えるかは人それぞれだが、ハッピーな子ども時代を過ごした子はハッピーな大人になると思う」と答えていました。
私もそう思います。
学校法人きのくに子どもの村学園ながさきそのぎ子どもの村小学校HP
http://www.kinokuni.ac.jp/nagasaki/
東彼杵町の魅力