佐世保エリアは親子ワーケーション初心者におすすめの街。
その理由は立地と人柄にあるとか。佐世保にゆかりのある2人の専門家に語ってもらってもらいました!
対談者プロフィール
- 今村 茜さん
- 毎日新聞記者。2020年から〈毎日みらい創造ラボ〉でワーケーション事業展開。親子ワーケーションやオンラインイベント企画開催を手がける。3児の母。
- 富田 柚香子さん(写真左)
- 佐世保観光コンベンション協会などに勤務し地域に貢献。2022年に在宅民泊〈木木木木 KIGI MOKU MOKU〉を開業。
今村
以前弊社で親子ワーケーションツアーを佐世保市で企画した際に、知人から富田さんをご紹介いただきました。地域の食や文化、地元の方と関わるコンテンツを多数ご用意いただいて感動しました。
富田
前職では地域の人と交流するような観光コンテンツ作りをしていて。実際親子ワーケーションツアーの準備を始めるといろんなプログラムがすでに各地で造成されていたので、その事自体はそんなに難易度高くなくて。それよりも仕事時間に子どもをどうするかとか、観光旅行とは異なるいわゆる生活基盤要素の設計に戸惑った部分はあったよね。
今村
そうそう。富田さんは地域に根づいているからいろんな人脈とかおすすめスポットが出てくるので、おすすめがたくさん出てくるんですよ!だからアクティビティづくりには困らなくて。逆に苦労したのは何かあったときの病院を考えておくとか、一番近くの買い物場所を考えておくとか、子供と一緒に通う保育園までの距離は歩きで大丈夫かとか…。未就学児対象ツアーだったので大人向けのアクティビティがそのまま適用できるわけじゃない。子供向けに公園を見に行ったりして、公園までの距離の確認とか寒かったねとか。大人だったら普通に対応できることなんだけど、子供には色々必要だねとか。安全面をきちんと整理して、旅行者を迎え入れるというよりも生活者を迎え入れる視点が必要と話してましたね。
富田
特に事前調整したのは保育園。知らない土地に来て知らないお友達のいるところに預けられる子どもたちは大丈夫なのかと心配はかなりして、みんなで議論したよね。
今村
預け先の保育園探しは大変だったけど、佐世保市も親子ワーケーションを進めたいという前向きな気持ちがあったからこそ実現できましたよね。自治体のフォローも大きかったけど、地域の方と佐世保伝統料理の押し寿司を作るとか、地域を歩いて回るコンテンツとかは地域パーソンである富田さんの存在は本当に大きいとひしひしと感じました。
事前にFacebookのメッセンジャーでグループを作って受入れ側と参加者側をつないでいたんですけど、富田さんがおすすめのランチやお土産を教えてくれたのはありがたかったです。地元の人がダイレクトに教えてくれるって普通の旅行じゃなくて遠い親戚の家に来たみたいな感じですよね。
富田
今、タクシーを使った観光コンテンツをモニターで実践していて。そのコンテンツも最初にオンラインミーティングで顔合わせして、その後はメッセンジャーで情報を交換してる。それをやることで「この人はこういうコトに関心がありそう」と思ったら、ルートに関心の高そうなものを入れるなど調整をしたりして。サービスとしてはまだまだこれからだけど手ごたえを感じてるところ。
今村
オーダーメイドというか来られる方の関心に合わせて調整していくって感じですよね。旅って集団でいく時代でなくなってきているから、ますます個人の旅のオーダーメイド化が進んでいくんでしょうね。
佐世保に行って思ったのがいろんな文化が入り交じってる。だからこそ生まれる自由活発な空気感と人柄。親子ワーケーションってハードルが高く冷たい目で地域の方に見られることもあるんですが、佐世保はそんな雰囲気もなく気軽に楽しめました。
共働きでワンオペが多く日々孤独な子育てで。親子ワーケーションをすると地方に拡張家族ができるって私がよく言うんですけど、地域の方が自分が仕事をしているときに子どもを見てくれるとその人が自分の延長線上の拡張家族になる感がすごいありがたくて、ほっとして癒やされる。そういう時間が必要だなと感じています。
佐世保の親子ワーケーションツアーは始まってすぐにみんなで佐世保独楽を回す体験をしたんですが、難しい分子どもはすごくテンションがあがって!
富田
緊張感が一気に溶けてった。出会い方って大事だなって思ったよ。
今村
それと地域の方にも好評だったと思うのが佐世保のお母さん方による押し寿司づくり。お宿つるやさんの場所を借りてやったんですけどそこの女将が、「私もあんまり作ったことがない」とおっしゃってたのが印象的で。一緒にご飯を作って食べるコンテンツをよく企画するんですけど、せっかくだったら地域の伝統料理がいいなっていうことで押し寿司のアイデアいただいて。押し寿司の型とか味とか具材とかはTPOによって変わるみたいで、おばあちゃん世代は作っているけど自分は作ったことないっていうのはあるんだなって。地域の方にとっても新鮮なんだって。
富田
四角か扇形の型にご飯を詰めて中に具材を鋳込んで押して抜くんだけど、かわいいのよね。上は錦糸卵とかで色々飾るから出来上がりが若い人にもうけるよねっていう。ただ手間がかかるから、地元でも若い人は作らないのよ。飾りは子どもたちがやるとそれぞれの個性が出て、緻密に飾る子もいれば、デザインもバランスもこだわって絵画的に仕上げる子もいた。普段見れない子どもの姿をご両親は見れたんじゃないかな。日常生活だと子どもと触れ合う時間が少なく夫婦で休みを合わせるのが難しい。だから家族旅行に行けない家族って多いじゃないですか。ワーケーションだと仕事を持ってこれるし、家族との時間も取れるっていうのがメリットだよね。
今村
単なる観光旅行じゃなくて地域の方とつながる親子ワーケーションができたなって思いました。佐世保を含めて県北ってコンテンツが多彩!
富田
島やカトリックの歴史、古代史的なものまでオールラウンド。観光の表面だけをさらうと九十九島遊覧とかハウステンボスとかになるけど、ちょっと奥の薄いカーテンをめくってみると多彩な要素があって、家族毎でファミリープランを作っていただけるんじゃないかな。
今村
後日子どもたちを連れてプライベートでお邪魔したときに西海市の横瀬浦のランチを紹介してもらったんですけど、佐世保港から船で行ったんですよ。
富田
通勤にも使われている定期船だからバスみたいな感覚で。
今村
船で行くってすごいカルチャーショックでした。うちの子デッキに登って「わーっ!長崎来た~!」って(笑)
富田
佐世保は車で30分程度で自然もあり陶磁器もあり、歴史に触れることころもある。一方で市街地は都市機能もしっかり揃ってるから車がなくても生活できるし。
今村
生活に不便がないですね。小さい子がいると特にスーパーやコインランドリーとかが徒歩圏内にあるとありがたい。佐世保は未就学児と一緒の親子ワーケーション初心者に特におすすめしたいです。
富田
子連れだからこそ必要になってくる生活拠点が利便性も担保できていて、ちょっと足を伸ばすと色んな体験ができるっていう街の距離感は、親子ワーケーションに適していると思う。民泊も始めたし困ったことがあったらぜひ頼ってほしいね。
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